2004年1月24日土曜日

安房直子:あわなおこ

という童話作家をご存知でしょうか。
中学入学のときに母の友人からいただいだ『ハンカチの上の花畑』という文庫本が
きっかけて、安房直子さんの作品をたくさん読んできました。既に1993年に他界
され、絶版になっていく多くの作品達が悲しく、誰にも忘れられないように、何か
ないものかと、一人でただ考えていました。

それが遂に、復刊どころか偕成社から安房直子コレクションが出版されることに
なりました。
挿絵は北見葉胡(きたみようこ)さんという挿絵画家さんで、繊細かつ神秘的な絵
を紡ぎだす方です。北見葉胡さんのホームページにも是非行ってみてください。
『安房直子コレクション』は、全て彼女の手による挿絵になるようです。
表紙はカラー、中はなんと全て銅版画!なんと手のかかる仕事でしょうか。

今年2004年7月には、原画展が銀座の福原画廊である予定だそうです。ちょっと
遠くても、予定が空きさえすれば、是非行きたい気持ちでいっぱいです。

私の大切な大切な、安房直子さんの作品達が、このような挿絵画家さんの手で全て
ではなくとも、復刻されるなんて夢のようです。


特に好きな作品は『ハンカチの上の花畑』『白いオウムの森』『灰色のスカート』
他にも沢山あるのですが、安房さんの作品に共通するのは、どこか確固とした地盤
と裏腹に感じる危うさ、失くしてしまったものへの愛惜です。
今まで生きて来て失くしたものの多い方ほど、その世界に触れて「これは私?」と
感じることが多いのではと思います。

絵本の大切な要素として「作品にフィットする挿絵」があると思います。今まで
安房さんの作品の雰囲気に似合うと感じた挿絵は司修さん、赤星亮衛さん、そして
忘れられない切ない絵をお描きになる味戸ケイコさんでした。
最近発刊されている絵本もあるのですが、どうも挿絵が昔の文庫本の時の方が
ずっと良かったために、見ても欲しくない本になっているものが多数でした。

今回、 北見葉胡さんという新たな安房直子さんのお話を視覚的に見せてくれる事の
可能な方が、コレクションの挿絵画家として迎えられ、限りない喜びを感じます。


2月以降に刊行予定ですが、書店で見かけたら、手に取ってご覧になって下さい。


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